事業の引き継ぎ、はじめの一歩

知っておくだけで変わる準備ガイド

Relay Partners

導入:あなただけではありません

ある日ふと、こんなことを考えたことはありませんか。 「この会社、自分がいなくなったらどうなるんだろう」 そう思ったあと、すぐに頭を振って、目の前の仕事に戻る。まだ元気だし、今すぐどうこうという話ではない。そもそも何から手をつけていいかもわからない——。

もしそうだとしたら、あなたはごく普通の経営者です。

日本中の経営者が、同じことを考えています

いま、日本の中小企業経営者の多くが、同じ問いを抱えています。これは特定の業界や地域に限った話ではありません。全国的な、そして時代的な変化です。

127万社
後継者が決まっていない
中小企業の数
出典:中小企業庁「事業承継に関する現状と課題」
60%以上
中小企業経営者のうち
60歳以上の割合
出典:帝国データバンク「全国社長年齢分析」

つまり、「まだ何も決めていない」という状況は、日本の経営者にとってごく当たり前のことなのです。後継者がいないことは、経営の失敗ではありません。時代の流れの中で、多くの優れた経営者が同じ局面に立っています。

少子化、都市部への人口集中、若い世代の価値観の変化——こうした社会全体の構造的な変化が背景にあります。あなたの会社だけの問題ではなく、日本の中小企業が共通して直面している課題です。

このガイドは「まだ何も決めていない方」のためのものです

このガイドは、事業承継の専門書ではありません。「売却を検討してください」と急かすものでもありません。

まだ何も決めていない。でも、なんとなく気になっている。そんな方が、頭の中をすこし整理するための"最初の一冊"として書きました。

売り込みは一切ありません。判断材料をお渡しするだけです。読んだあとに何もしなくても、まったく構いません。

事業承継は、特別なことではなく、日本中の経営者がいままさに向き合っていることです。何十年もかけて育ててきた会社のことを考えるのは、当然のこと。そして、その次の一歩をどうするか考え始めることも、同じくらい自然なことです。

Chapter 1

事業の引き継ぎって、実際何が起きるの?

毎年、日本全国で4万件以上の中小企業が事業承継を行っています。つまり、あなたと同じように「そろそろ考えないと」と思っている経営者は、決して少なくありません。

事業の引き継ぎは、特別なことでも、失敗の証でもありません。長年の努力を次につなげる、前向きな経営判断です。

3つの選択肢 — どれが正解、ではなく「どれが合うか」

事業承継には、大きく分けて3つの方法があります。どれが「正解」ということはありません。

親族承継
家族・親族に引き継ぐ
社内承継
社員・役員に引き継ぐ
第三者承継
社外の企業・個人に引き継ぐ

基本の流れ — たった5つのステップ

「何から手をつければいいのか分からない」という声をよく聞きます。実は、事業承継の基本的な流れは、5つのステップに整理できます。

1
現状を知る
2
選択肢を
比べる
3
相談相手を
見つける
4
計画を
立てる
5
実行する

全体像が見えれば、思ったほど複雑ではありません。

よくある声
「会社がバラバラにされるのでは?」
お答えします
ご安心ください。中小企業庁の調査によると、M&Aによる事業承継を行った企業の約8割が、従業員の雇用を維持しています。事業承継は「会社を売る」ことではなく、「会社を守りながら、次の担い手に託す」ことです。
Chapter 2

お金まわり、どこから手をつける?

会社のお金と個人のお金、きちんと分けていますか?

実は、ほとんどの中小企業で個人と法人の境界は曖昧です。長年ひとりで経営してきた方なら、なおさら当然のこと。「うちの帳簿は人に見せられない」と感じている経営者は、あなただけではありません。

大切なのは、完璧な帳簿をつくることではありません。まず「現状を見える化」するだけで、大きな一歩になります。

まずやるべき3つだけ

1
事業用口座の分離

事業のお金と生活のお金を、別々の口座で管理しましょう。口座を分けるだけで、会社の収支がぐっと見やすくなります。

2
月次の収支記録の整理

毎月の売上と経費を、ざっくりでいいので記録に残す習慣をつけましょう。手書きのノートでも、簡単なExcelでも構いません。

3
税理士との定期確認

顧問の税理士がいる方は、年に数回でいいので「うちの財務状況はどうですか?」と聞いてみてください。ひとりで抱え込む必要はありません。

よくある声
「帳簿を見せるのが恥ずかしい...」
お答えします
ご安心ください。どの会社も同じ状況です。専門家はそうした状態を何度も見てきていますので、驚きません。「きれいにしてから相談しよう」と思う必要はありません。
ミニ診断:財務の整理度チェック
今の状態を確認してみましょう。「はい」にチェックがつかなくても大丈夫。これから始めれば問題ありません。
1. 事業用の銀行口座は個人と分けていますか?
2. 毎月の売上・経費の記録は整理されていますか?
3. 顧問の税理士と定期的に財務状況を確認していますか?
✓ が2つ以上: 基本はできています。あとは細かい部分を確認するだけです。
✓ が1つ以下: 心配いりません。上の「3つだけ」から、できるものを1つ始めてみましょう。
Chapter 3

会社が「社長なし」で回る仕組み

もし1週間お休みしたら、会社は回りますか?

もし明日から1週間、社長が会社を離れたら——受注は? 請求は? お客様からの電話は?

少しでも不安を感じたなら、それはあなただけではありません。中小企業庁の調査によると、小規模企業の約7割が「経営者の不在時に業務が滞る」と感じています。

でも、裏を返せば、少しの準備で大きく変わるということでもあります。

やるべきことは、3つだけ

① 主要業務の手順を書き出す

マニュアルと聞くと大変そうですが、完璧な文書でなくて構いません。たとえば、受注から納品までの流れを箇条書きにするだけで十分です。

今日できる一歩:

いちばん大事な業務を1つ選んで、A4一枚に「やること」を順番に書き出してみてください。

② 判断を任せられる人を1人決める

すべてを任せる必要はありません。「自分がいないとき、この人に聞いてくれ」と社員に伝えられる人が1人いれば、それだけで会社の安心感は大きく変わります。

今日できる一歩:

その人に「もし自分が急に休んだら、〇〇の判断はお願いしたい」と一言伝えるだけで、引き継ぎの第一歩になります。

③ 重要な連絡先・パスワードを共有する

銀行、主要取引先、税理士、保険会社——社長の頭の中だけにある情報はありませんか?

今日できる一歩:

重要な連絡先10件を一覧にして、信頼できる社員と共有してください。パスワードは封筒に入れて金庫に保管するだけでも安心です。

社長の声
「自分がいなくなったら、社員が困るんじゃないか…」
お答えします
そのお気持ちは、社員を大切に思っているからこそです。でも、何も準備がないまま、ある日突然社長が不在になる方が、社員にとってはるかに困る事態です。引き継ぎの準備をすることは、社員を守る、いちばん確実な方法です。
ミニ診断:業務の自立度チェック
4. 主要な業務手順は文書化されていますか?
5. 自分が1週間休んでも業務は回りますか?
6. 自分以外に判断を任せられる社員がいますか?
Chapter 4

大切にしてきた人たちは、どうなる?

会社を引き継ぐかどうか——その判断を難しくしているのは、数字や手続きの問題だけではないはずです。

「あの社員たちは、どうなるのか」 「長年つきあってきた取引先に迷惑をかけないか」 「お客様との信頼関係は守れるのか」

経営者として何十年も走り続けてきたあなたにとって、一番気がかりなのは、自分のことではなく周りの人たちのことではないでしょうか。

その心配は、経営者として当然のことです

事業承継を考えるとき、社員や取引先への影響を心配するのはごく自然なことです。むしろ、そう思えること自体が、あなたがこれまで人を大切にしてきた証拠です。

引き継ぎで「変わること」と「変わらないこと」

変わらないこと

  • 日々の業務 — 現場の仕事の進め方や流れは、基本的にそのまま続きます
  • 取引関係 — 長年築いた取引先との関係は、会社の財産として引き継がれます
  • 雇用 — 社員の雇用は維持されるのが原則です

変わること

経営判断の主体が変わります。ただし一夜にして起こるものではなく、数ヶ月から数年かけて段階的に引き継がれます。

よくある声
「社員がリストラされるのでは……」
お答えします
適切に進められた事業承継では、雇用は維持されるケースがほとんどです。引き継ぐ側にとっても、経験ある社員は会社の大きな強みです。引き継ぎの準備を始めること自体が、社員への思いやりになるのです。
ミニ診断:事業継続性チェック
以下の項目について、現時点での状況を確認してみましょう。
7. 主要な取引先との関係は社長個人ではなく会社としてつながっていますか?
8. 社員の役割と責任は明確に定義されていますか?
9. 重要な顧客情報・契約情報は会社として管理されていますか?
「いいえ」が多くても心配ありません。今の時点で気づけたなら、それだけで十分な一歩です。

あなたの準備度スコア

スコアの出し方

第2章〜第4章のミニ診断で「はい」と答えた数を合計してください。「はい」1つにつき1点、合計9点満点です。

質問番号「はい」の数
第2章(お金まわり)質問 1〜3   / 3
第3章(業務の仕組み)質問 4〜6   / 3
第4章(人と事業の継続性)質問 7〜9   / 3
合計   / 9
1〜3点
4〜6点
7〜9点
まだこれから
基礎あり
準備OK
▼ あなたの位置をマークしてください

あなたの結果

7〜9点
準備は進んでいます。次のステップを考える良いタイミングです。

これまで経営者として積み重ねてきたことが、しっかりと形になっています。

まずこれだけ: 信頼できる専門家に、一度現状を共有してみましょう。

4〜6点
基礎はあります。少しの整理で大きく変わります。

会社の中にすでにしっかりとした土台があるということです。あとは少しずつ整えていくだけ。

まずこれだけ: 「いいえ」が多かった分野から、1つだけ取り組んでみましょう。

1〜3点
まだこれから。でも、今気づけたことが最大の一歩です。

このチェックリストを最後まで読んで、自分の現状を確認しようとした——それ自体が、多くの経営者がまだ踏み出せていない一歩です。

まずこれだけ: 顧問の税理士さんに「事業の将来について考えている」と伝えてみましょう。

どのスコアでも、大切なことは同じです。
ここまで読み進めて、自分の状況を見つめ直したあなたは、
すでに大きな一歩を踏み出しています。

次のステップ

まずは、現状を整理するだけでも十分です。

前のページで出したスコアは、あなたの会社の「今の位置」を大まかに示したものです。良い・悪いではなく、どこから手をつければいいかを考えるためのきっかけです。

大切なのは、一人で抱え込まないこと。信頼できる人と一緒に振り返るだけで、見え方がまったく変わることがあります。

顧問の税理士さんがいらっしゃる方へ

まずは、顧問の税理士さんにこのスコアについて相談してみてください。

税理士さんは、あなたの会社の数字を一番よく知っている方です。スコアの内容を一緒に確認するだけでも、具体的な次の一歩が見えてくるはずです。

このガイドの内容について税理士さんからご質問があれば、私たちリレーパートナーズが直接お答えいたします。

税理士さんがいらっしゃらない方・直接ご相談されたい方へ

専門家と一緒に、スコアを振り返りませんか?

リレーパートナーズでは、このガイドのスコアをもとにした無料の振り返り面談(30分・オンライン可)を行っています。

売り込みや営業は一切ありません。あなたの状況に合った選択肢を一緒に整理するだけのお時間です。

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リレーパートナーズについて

リレーパートナーズは、後継者問題に悩む中小企業の経営者に寄り添い、事業の円滑な引き継ぎを支援するパートナーです。

あなたが築いてきた事業と、大切にしてきた人たちの未来を、一緒に考えるところから始めます。

あなたの人生の仕事に、ふさわしい次の一章を。

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